2018.03.09

杉山愛さんのトークセッションレポート! 「To DoよりWant To Do」~『やりたい』を描く力~

『三井のオフィス』で働くビジネスパーソンの気づきやヒントになり、仕事やオフタイムの充実を図っていただきたいという想いで開催される、COMMONS PAGEのメンバー限定の特別イベント。
今回、元プロテニスプレイヤーで、現在はテニス解説や情報番組のコメンテーターなど各方面で活躍されている杉山愛さんを招いての講演会が2月7日(水)開催されました。

現役を引退後、自分が進みたい道を明確にするために杉山さんが始めたのがウィッシュリストの作成でした。

「しなければならないこと」よりも「やりたいこと」をリストアップすることで、何をすべきかが見えてきて、リストのトップに書かれていた結婚、出産を実現。

たくさんの願いを叶えた今も、ウィッシュリストはマメにチェックして更新しながら進めていると語ります。

杉山さんに楽しく生きていくためのヒントをもらおう、間近で話を聞いてパワーをもらうと、会場はたくさんの来場者で埋め尽くされました。

今回の講演会ではトークセッションのほか、『COMMONS PAGE』のweb版でも語られていた呼吸法やウィッシュリストの作り方を杉山さんにレクチャーしていただく「ワークショップ」も実施。

杉山さんからどのような話が飛び出し、ワークショップではどのような事が行われたのか、会場の雰囲気も合わせてお伝えします。

現役時代の思い出が語られたトークセッション。

テニスラケットとボールを持って登場した杉山さん。
自己紹介が済んだあと「実はサインボールを2球持ってきました。もし"もらってもいいよ"という方がいらっしゃればアピールしていただければ、そちらの方にスマッシュで打ち込みますから(笑)」との申し出が。

来場されたみなさんは全員が勢いよく両手を挙げてアピール。
杉山さんがテニスボールをポーンと打ち込むと来場者との垣根が一気に取り去られ、和やかな雰囲気の中、トークセッションが始まりました。



司会者の質問に杉山さんが答えていくスタイルで進められたトークセッションは、杉山さんがテニスを始めたきっかけから始まり、中学の時にプロを目指すことを決めてスポーツに特化した高校へ進学を決めたことなどが語られました。

その後、25歳の時に訪れたスランプ、そして思い出に残る試合などについてもお話いただきましたので、一部内容を抜粋してご紹介いたします。


壁を乗り越えた「手応え」を掴んだ思い出の試合。




「25歳の時、ひどいスランプに陥って引退を考えた時がありました。でももう一度がんばろうと決めて初心に戻り、母にコーチをお願いして練習方法から意識改革まであらゆる角度からやり方や取り組み方を変えていったんです。それでもこの大きな壁を乗り越えるには2、3年かかりました。

スランプ脱出の手応えを掴んだのはアメリカのスコッツデールで行われた大会です。5年ぶりにツアー優勝しただけでなく、単複両方で勝つことができまして。実はこの大会では、準決勝の試合が雨で延期になり、決勝と同日に行われることになったんです。なので大会最終日はシングルスの準決勝と決勝、その後にダブルスの準決勝と決勝、1日4試合をこなしました。

シングルスの準決勝は、相手のマッチポイントを3本凌いで勝利し決勝に進出、決勝は当時ダブルスのパートナーだった世界ランキング2位のキム・クライシュテルスと対戦。フルセットの末、彼女に初めて勝つことができた試合でした。自分より格上の選手に勝って優勝、その30分後には彼女とダブルスを組んで準決勝、決勝と戦い抜いて。4試合で6時間18分もコートの上で戦っていたんです。

この日は本当に心技体が整っていたという感じでしたね。松岡修造さんはよく"ゾーン"という言葉を乱用するんですけど(笑)、私がゾーンに入ったのは人生で2回だけしかなくて。そのうちの1回がこの日の試合でした。どん底を見た後、やり直してここでがんばれてよかった、これでさらに上を狙える、という手応えを掴めたことが何よりも大きく心に残っています」


スランプがあったからこそ夢を叶えることができた。




「よく"ピンチはチャンス"と言われますが、私はスランプの時がまさにそうだったと思いますね。スランプの3年後、初めて自分の夢だった世界ランキングのトップ10入りを実現。あの時の挫折がなければ、この夢はきっと叶えられなかったと思います。

スランプ以降、気持ちの高め方や準備の仕方など、朝起きてから夜寝るまでのルーティーンをつくるようにしました。いいパフォーマンスをするためには、心と体の整え方をわかっていないといけませんから。トライアンドエラーをしながら自分にいいものだけを残して、試合がない日は23個、試合がある日は33個ものルーティーンがあったんですよ。でもそれで自分の体の調子がわかるようになったし、試合で本来の力を出せるようになりました。



私は緊張するタイプなので、それを解消できるものはないかと探していった結果、web版インタビューでご紹介した塩谷信男さんという医学博士が考案した「正心調息法」という呼吸法にたどり着きました。やってみたら自分に合っているように思えたので、ルーティーンに組み込むことにしたんです。どんな呼吸法かは後ほどワークショップでご紹介しますので、ぜひみなさんもやってみてください」


ワークショップではウィッシュリスト作成と特別な呼吸法を体験。

後半のワークショップでは来場者のみなさんにもご参加いただき、杉山さんが今も実践しているウィッシュリストの作成と、ルーティーンに組み込んでいる呼吸法に挑戦していただきました。

ウィッシュリストを作るとより充実した時間を過ごせる。




まずはウィッシュリストを作成することからスタート。杉山さんご自身がウィッシュリストを書き始めたきっかけや、どのようにリストアップしていったかをお話しいただきました。

「今日はあえてご自身だけのために時間をとっていただいて、自分が何をしたいのか、仕事の事でもプライベートの事でも、大きいことでも小さいことでもいいので、思いつくままに"やりたいこと"をお手元にある用紙に書いてみてください」と杉山さん。

来場者がウィッシュリストを書いている間、杉山さんはやりたいことを思い付くコツを伝えてリストアップをサポート。
会場内を一周して、みなさんのリストをチラッと見ながら多くの方に声をかけていました。



その後、ご自身のリストの一部を見せていただき、どうやってリストの項目を実現していったかも教えていただきました。
「富士登山」、「フルマラソン完走」については、友達を巻き込んでクリアしたのだそう。

このように自身の体験を通して実現するための秘訣を語る杉山さん。
来場者のみなさんもそのバイタリティあふれるお話に引き込まれていたようです。

そして、ウィッシュリストについて、杉山さんからひと言。
「ウィッシュリストを作って更新していくと常に自分と向き合えるので、思い通りの時間が過ごせたり、仕事が充実したり、メリハリのある生活を送れると思います。みなさんも今日書いていただいたものに追加、更新していくとまた見えてくるものがあるはずですので、ぜひスマートフォンなどを使って続けていただけたらと思います」


心をコントロールできる特別な呼吸法を来場者に伝授。




続いて、杉山さんが現役時代から続けていて、今でも夜寝る前に実践している呼吸法を教えていただきました。
深く呼吸することは瞑想や禅と同じように落ち着いて自分と向き合う時間。

杉山さんはこの「正心調息法」という呼吸法を取り入れることで、精神的なイライラや緊張感までコントロールできるようになったと語ります。

「これをやることで体が少し温かく感じたり、リラックスできたりするので、まずはそこを感じていただけるとうれしいです」と、細かく丁寧に呼吸法をレクチャーする杉山さん。

体の奥深くまで空気を送りこみ、エネルギーを体に行き渡らせてから吐き出すのですが、これがなかなか難しいよう。



空気を吸うときはフレッシュな気持ちいいエネルギーを吸い込むように、吐き出す時は老廃物、ストレス、疲れなど、ネガティブなものを体の外に出してあげるイメージで。

さらに呼吸を溜めた時にいいイメージ、例えば杉山さんの場合は、躍動感あるいいプレーをしている自分をイメージすると、脳がそれを実際に起きたことと感違いするのだとか。

気持ちをコントロールするためには、この「イメージの上書き」が大切だと、杉山さんはより詳しくその方法についてもお話してくれました。

ここで覚えた呼吸法は、きっとみなさんのこれからの仕事や生活の中で、自分と向き合い、リラックスできる貴重な時間を与えてくれるはずです。


どんな時もワクワクスイッチを入れて楽しい毎日を。




最後にお話いただいたのは、杉山さんが好きな言葉について。

「"遊戯三昧(ゆげざんまい)"という禅の言葉を最後にみなさんにお伝えしたいと思います。この言葉は"楽しいことをする"のではなくて、"することを楽しむ"という意味。うまくいかない時に「だめだな」と思っていると、その壁を乗り越えるのは難しいですよね。でも丸ごと楽しんでやってみようと、自分からワクワクスイッチを入れることで意外にも苦労が楽しめたりするものです。自分の中でハードルが下がるというか、実は思ったほど大変じゃなかったりするんですよね。

ですから乗らない日やしんどい日には、楽しいことがあるかもしれないと自らワクワクスイッチを入れてほしいんです。そうすることで1日が終わってベッドに入った時"今日はいい1日だったな"と思えることもたくさんあります。自分を鼓舞するためにワクワクスイッチを入れるのが遊戯三昧。辛いときにはぜひこの遊戯三昧という言葉を思い出してください。そして気持ちを切り替えて、より楽しい1日を過ごしていただけるとうれしいです。今日は長い時間お付き合いいただき、ありがとうございました」

この後、質疑応答の時間も用意。
みなさん思い思いの質問を投げかけ、それに笑顔で丁寧に答える杉山さんの姿が印象的でした。

最後には杉山さんを中心に集合写真をパチリ。



ご来場いただいたみなさんも杉山さんも素敵な笑顔で会場を後にしました。

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