2017.11.29

仕事とオフの境界線が重なり溶け合う 「ワーク・ライフ・ハーモニー」を目指して。

プロテニスプレイヤーとして長年、世界を舞台に活躍してきた杉山愛さん。
引退した現在は一児の母として、そして働く女性として多忙な日々を送りながら仕事も生活も共に楽しむ「ワーク・ライフ・ハーモニー」を実践しています。

選手時代も今も変わらずオフの時間を大切にしている杉山さんにオンとオフの切り替えのコツをはじめ、セルフマネジメントの方法など、仕事もプライベートも充実させるための極意を教えていただきました。


公私を丸ごと楽しむことで心地いいハーモニーが生まれる。

現役引退後の私のモットーは「ワーク・ライフ・ハーモニー」です。
簡単に言うと仕事とオフを調和させることで、私の場合は仕事とプライベートとの境界線をぼんやりとさせて、どちらも丸ごと楽しんじゃおう、という考え方。

「仕事も趣味の一環」ではないですけれども、自分の好きなこと、楽しいことになると仕事も仕事ではなくなってくるもの。
境界線が曖昧で、仕事と生活が重なる部分があるからこそハーモニーを創り出せるのではないかと思っています。

実際のところ、仕事と生活の境目をなくすことを目指しながらも、割り切れない部分があるのは事実です。
息子がまだ小さいので思い通りにはいかないこともありますが、そんな状況も含めて「どうしたら自分らしく働けるか」と常に考えています。

「ワーク・ライフ・ハーモニー」を実践できるようになったのは、大事なことだけでなく小さなことまで、自分が思っていることや考えていることを主人とシェアできるようになったことが大きかったと思います。
お互いにコミュニケーションをしっかりとるようにしたことで、仕事とオフの調和も自然ととれるようになりました。

家庭のことも、仕事のことも、お互いにストレスのない形で進めていくには、やはり話し合いが必要です。

例えば、主人のふとしたひと言がちょっと気になった時も、すぐに「今みたいな言い方は好きじゃない」と伝えるようにしていました。

どんな些細なことでもストレスになれば「ワーク・ライフ・ハーモニー」はなかなか実現できません。
今、引退して8年が経ちますが、主人と密にコミュニケーションがとれるようになって数年経って、やっと自分の理想の形で仕事ができるようになった、という感じです。



オン・オフの切り替えは緊張と緩和のメリハリが大切。

仕事も生活も充実させるには、オンとオフの切り替えがしっかりできることも大切です。
私の場合、選手時代と今とでは稼働する時間帯もやっていることもまったく違いますが、アプローチの方法や考え方は共通しています。

重要なのはメリハリです。人間は休んだり緩んだりしないと集中できません。
しかも集中してオンにできる時間には限りがあるので、上手に心と頭を切り替えて、その後も集中できるようにしっかりとオフにする必要があります。

でも日本人はオフの仕方というか、気の緩め方があまり上手ではないんですよね。
生真面目な国民性なので。

私もそれに違わず真面目なタイプなので「どうやって心と体を休めるか」は常にテーマになっていました。
その手段は年齢や状況によっても変わりますから。

選手時代はハードな練習やトレーニングを集中してできるように、リフレッシュや体力回復の時間に充てていました。
20代前半は大好きなゴルフ、20代後半から30代は部屋で本を読んだり、好きな音楽を聴いたり。

でも引退して仕事も変わり、息子が生まれた今、選手時代とはオフの過ごし方がまったく違います。
旅行に行ったり、子どもを連れて水族館に行ったり。一人なら絶対に行かないようなところにも足を運ぶようになりました。

テニスの解説の仕事の時は会場入りから終了するまで12時間以上ということもよくあります。
拘束されていてもずっとオンというわけではないので、どう息抜きして、うまく本番にピークをもっていくか、その中でメリハリをつけるのも重要なこと。

今は講演などの仕事もしていますので、長時間拘束の中でもオン・オフのメリハリをつけるように心がけています。


やりたいことを明確にするために書き始めたウィッシュリスト。

プロテニスプレイヤーとして17年間走り続けてきたので、引退後の半年間は何もしないでゆっくりと自分探しをしようと思っていたんです。
ところが、すぐにテレビやラジオの仕事が入ってしまって。

選手としての私を支えてくれた方々にメディアを通して感謝を伝えられると思ったのでお引き受けしていたんですが、3カ月くらいひっきりなしで。
なんだか自分の思った方向と全然違った方向に駆け出している気がしたんです。

自分がやりたい事もわからないまま霞の中を進んでいるような感じで、とても心地悪い時期でした。
そこで、まずは自分がやりたいことを明確にしようと「ウィッシュリスト」を書き始めました。

やらなきゃいけないことを書く「to doリスト」に対して、やりたいことを書く「want toリスト」が「ウィッシュリスト」。
自分本位に考えて自分にどんな欲望があるのかを考えるだけでエネルギーのバロメーターにもなるんです。

例えば、疲れている時には癒やされたい気持ちが強く出て、「南の島に行きたい」とか、「エステに行きたい」とか書くんですよね。
そうすると自分は疲れているんだな、ということを発見できる。

反対に、元気な時は学ぶ意欲が湧いたり、レベルアップを目指したい、という向上心が芽生えたり。
そういう方向にリストが進む時は、元気な証拠なんです。

小さな事でもいいので、とにかくやりたいと思ったことを書くことが大切。
そしてスマホや手帳など、手元にあってすぐに確認できるものに書き留めておくのがおすすめです。

「to doリスト」を見ると、あれもやってない、これもやってない、と焦ってしまいますが、ウィッシュリストはワクワク感が満載です。
ここに行きたい、食べたい、欲しいといった「want to」を書いていくと、まるで鏡のように自分の真の姿が見えてきます。

やり遂げたものにはdone、現在進行形のものにはdoingとチェックしていくと、自分のやりたいことをどれだけ進めてきたか一目でわかり、達成感も味わえます。
さらに更新していくことも忘れずに。

やりたいと思わなくなったものはリストから削除して、やりたいことが増えたら書き足していく。
私は最初、ウィッシュリストを100個書きましたが、今は更新して140個に増えています。

スマホに書き留めているので、移動時間などの空き時間に確認や更新をしているんですよ。



自分の望みを叶えるスタイルで仕事と向き合うことが大切な時代。

今の時代は社会のムーブメントに合わせた働き方をするより、自分はどんな生活を望んでいるのかを知り、それが叶うような働き方をすることが大切だと思います。

その人の能力や興味、願望など、個人の考えや哲学が生活スタイルをつくっていくもの。
「贅沢に派手な生活をしたいので寝る間も惜しんで働くことになってもいい」という人もいれば、「たまには贅沢をしたいけどスローに自分の時間を楽しみたい」という人もいます。

他にもいろいろなプランがあると思いますが、仕事とオフのバランスを上手に保つことができれば、より楽しい生活に変えることができるはず。

 「WORKSTYLING」のコンセプトも、さまざまな考えや哲学を持っている人に、自分に合った働き方を提案している感じがしますね。
自分のペースで、自分のスタイルで働くことができますから社会も広がっていく。
今の時代にもフィットしたスペースだと思います。



COMMONS PAGEメンバー限定
杉山 愛さんの トークセッションを開催!

今回のテーマは、

「To DoよりWant To DO」
〜『やりたい』を描く力〜

講演日時:2018年2月7日(水) 18:30開演 21:00終了予定
場所:霞が関ビルディング 31 Builedge霞が関プラザホール
人数:COMMONS PAGEメンバー限定80名様をご招待

定員に達したため、受付は終了しました。



杉山 愛
スポーツコメンテーター
1975年、神奈川県横浜市生まれ。
4歳でテニスを始め、15歳で日本人初の世界ジュニアランキング1位を獲得。1992年、17歳でプロに転向。世界4大大会でも活躍し、シングルスでは2000年の全豪、04年のウィンブルドンでベスト8入り。ダブルスでは2000年の全米、03年の全仏とウィンブルドンで優勝を果たした。世界4大大会のシングルスでは連続出場62回という女子の世界記録を樹立。2009年10月、東レパンパシフィックオープンを最後に現役を引退。
現在はテニスの解説やスポーツキャスターをはじめ、情報番組のコメンテーターとして出演するなど、メディアを中心に活躍。

column