2017.10.20

人間社会には「与えてこそ得られる」という理屈では語れないメカニズムがある

元格闘家であり、現在は持ち前のバイタリティを活かして多彩な活動をなさっている須藤元気さんに、引き続き組織の中での「個」の力について話を伺いました。

その中には、効率的な仕事の進め方や人間力を磨く方法など、多くの経験により導き出した須藤さん流の理論が満載です。


気持ちが乗らないときは仕事に執着せず気分転換を。

前号(vol.1)で、個性を出すためには自分のエゴや思い込みに執着しない方がいいと言いましたが、仕事に関しても執着は捨てるべきだと僕は思っています。

同じような仕事をずっとやっていると、必ず中だるみがありますよね。
そんな時は他のことに目を向けて気分転換をするのがおすすめです。

モチベーションが下がっている状態では、仕事に執着しても意味がありません。
気が乗らない時に仕事を進めていても効率は上がらないし、集中力も落ちるのでムダに時間だけが過ぎていってしまいます。

でも、まったくやらなくなると今まで積み上げてきたものがムダになる可能性もあるので、できることだけやっておく。
例えば、僕は自分の経営している英語学校で英語を勉強しているんですけど、どうしてもモチベーションが下がってしまう時があるんですよね。

そんな時はメンテナンスだけしておいて、後はまったく違うことをやるようにしています。
執着しない、ということは何事においてもポイントになるんじゃないかと思いますね。

ひとつのことに捕らわれてしまうと視野が狭くなりますし、行き詰まる原因にもなりますから。
心に余裕を持って仕事と向き合うことが大切だと思います。



直感と分析力で見極めた新しい世界への挑戦。

執着心がないから、というわけではありませんが、僕は今いろいろな仕事をしています。
畑違いの仕事など、新しい世界に飛び込むことは僕にとって「挑戦」でもありました。

10代の頃から周囲の人に「何をしたいのかわからない」と言われていて、プロの格闘家になってからも親や友人には「早く就職しろ」と言われていました(笑)。

さすがにブームを迎えてテレビで放映されるようになってからは言われなくなりましたけど。
パフォーマンスユニット「WORLD ORDER」をやるときも「また彷徨ってる」といろんな人に言われましたし。

でも自分の中では、どれも「これはいける」という確信があったんです。
自分自身の直感と、さまざまな角度から分析した結果から成功の兆しが見えていましたから。

新しいことを始めるには他人の目を気にせず、等身大でいることが大事だと僕は思っています。
人にどう見られているか意識してしまうとどうしても躊躇してしまうし、絶対にみんな言うんですよ、「やめたほうがいい」って。

でも逆に、そういうリアクションをとられる方がビジネスとしてはチャンスがある。
「それ、いいね」って言われるものはすでに誰かがやっていたり、意外と陳腐なものが多いんです。
もちろん、人の意見は聞きますけれども、分析の結果と自分を信じてやっていく方が、いろいろと挑戦できるような気がします。


コンフォートゾーンからの脱出が挑戦を成功させる近道。

社会人であるみなさんの場合は、身近なところからちょっとずつ小さいモノに挑戦して、達成していく感覚をつけていくと「個」の力も伸びていくと思います。
例えばダイエットをする時も、まずは目先の目標をつくり、達成した時の自分をイメージすることが大事です。

今、生きている自分というのはコンフォートゾーン、つまりすごく居心地がいいフレームワークの中に入っているんです。
新しいことに挑戦するということは、この枠から出なければならない。
すると居心地がすごく悪くなるんですよ。

でも、自分の中でしっかりイマジネーションを創り上げていれば、逆に今の自分の居心地が悪くなってくるもの。
「本来の自分はこうなのに」と感じるわけです。

そうなるためにも、イマジネーションを明確につくること、そして小さな目標を地道に達成していくことが大切です。
ダイエットでリバウンドしてしまうのは、最終的なイメージができていないから。

ダイエットが楽しくなって一気に痩せる人もいるんですけど、自分のイメージがコンフォートゾーンのままでフレームを動かしていないと、本来の居心地がいいところにすぐに戻ってしまうんです。

要するに、三日坊主で終わってしまう人は、自分自身のフレームをズラしていない、ということ。
自分が新しいことに挑戦するとき、未来の自分をイメージできていることが成功の秘訣です。
自分自身を内観して、中心軸をきちんと自分の中に持っていると目標への道筋がブレないものです。



与えなければ得られないそれが人間社会の構造。

僕は、自分から発するものや与えるものが、自分の得られるものだと考えています。

人間関係って、やっぱり鏡だと思うんですよ。
自分が鏡の前で「先に笑ってくれ」といったところで笑わないのと同じで、まず自分が笑顔であいさつすることで戻ってくる、というメカニズムがあると思っています。

これって真理だと思うんですよ。
もしチャンスが欲しかったら、人にチャンスを与えないとダメ。

人間社会の構造で「贈与と反対給付」っていうのがあるんですよ。
他人に何かを与えたら、必ず自分に返ってくる、ということですね。

自分が与える前に得られることは、まずありません。
人間はなぜ働いているのかを考えた時、決して賃金を得るためだけじゃないんですよね。
誰もが仕事を通じて社会的承認を得たいんです。

それを得るためにも、社会への貢献は欠かせません。
以前、構造主義という哲学を勉強した時に、人間社会の成り立ちや構造ってそうなっているんだな、と思いました。

「個」の力がある人って、この構造がわかっているんですよね。
しかも実践できている。身近なところでいうと、人に何かを奢ってあげれば、いつかは自分にも何かの形で返ってくる。

理屈ではなく、そういう構造になっているんです。
自分が欲するものを得たければ、まずは贈ることによってしか手に入れることができない。
それが、人間が人間的であるためのルールでもあるんです。

時代と逆行するかもしれないけれど、こういう時代だからこそみなさんには仕事を通じて会社に、そして人に「何を与えることができるか」ということを考えて欲しいと思っています。
自分が与えれば与えるほど、得るものは大きくなるんですから。
僕はそれが人間性のベースになるような気がするんですよね。

その部分をしっかり見て行動していけば、組織の中で「個」の力を発揮できるようになり、社会もより良くなっていくと、僕は信じています。



COMMONS PAGEメンバー限定
須藤元気さんの講演会を開催!

今回のテーマは、

「自分が変われば世界が変わる」
〜意識を変えるだけで道が開ける〜


講演日時:2017年11月15日(水) 19:00開演 21:00終了予定
場所:東京ミッドタウン・カンファレンス
人数:COMMONS PAGEメンバー限定80名様をご招待

終了しました。



須藤元気
WORLD ORDERプロデューサー、拓殖大学レスリング部監督
1978年、東京都生まれ。高校時代からレスリングを始め、全日本ジュニアオリンピックで優勝。世界ジュニア選手権日本代表。1998年に渡米し、格闘家としての修行を続け、帰国後に逆輸入ファイターとしてプロデビュー。UFC-J 王者を経て、K-1 やUFCなどで活躍。2006年に現役引退。2008年、母校である拓殖大学レスリング部監督に就任。2年目で大会4冠を達成し、最優秀監督賞を10回受賞。現在は監督業のほか、作家、タレント、俳優、ミュージシャン、書家、英語学校の経営など多方面で幅広く活躍中。格闘技現役時代から掲げている「WE ARE ALL ONE」(すべてはひとつ)というメッセージは、多くの人々の支持と共感を集めている。
衣装協力/エストネーション、エディフィス 渋谷

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