2016.07.20

企業における女性活用は、ダイバーシティのリトマス試験紙です

4月15日(金)、三井不動産株式会社で「経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント」と題された講演会が開催されました。講師としてお招きしたのは、NPO法人J-Win理事長の内永ゆか子さんです。内永さんは日本IBMで専務執行役、ベルリッツコーポレーションで会長兼CEO、名誉会長などを歴任。現在はご自身の経験を生かし、企業の女性活用についてのアドバイス、コンサルタントをはじめ、セミナーや講演会など、企業におけるダイバーシティ・マネジメントの推進活動を幅広く展開していらっしゃいます。「急速にフラット化している世界で、企業が生き残るためには常にビジネスモデルを変え続けなければならず、ダイバーシティは重要な経営戦略」と話してくださった内永さんの講演の模様をレポートします。







ダイバーシティ・マネジメントとは、性別や人種、価値観などの多様性を受け入れ、幅広く人材を活用することで企業の生産性を高める人材活用のこと。特に現在のようにITやネットワークの進化により、時間・距離などの壁が取り払われ、急速にフラット化されている世界で、企業が生き残るためには、ダイバーシティは喫緊に取り組むべき課題なのです。内永さんは「女性登用は人権問題ではなく、経営戦略の問題」と語り、続けて、「女性を活用できない企業が、外国人を活用できる訳がない。女性活用はダイバーシティのリトマス試験紙なのです」と話されました。
最近では、政府も主要な政策のひとつに女性活躍推進を掲げるなど、かつてないほどの追い風も吹いていますが、ジェンダーギャップ指数は依然、世界の中でも低いままです。なぜ日本の企業において女性活用が定着・浸透していかないのでしょうか?




その理由のひとつが、男性に比べ女性は企業人としての将来像が見えにくいということ。日本の企業では管理職に占める女性の割合が諸外国と比べても極端に低く社内にロールモデルとなる女性がいないことが多いのです。
さらに、結婚、出産、育児などライフイベントの問題もあります。しかし、これは世界中の女性にとって同じように起こることであり日本だけの問題ではありません。ですから、重要なのは働き方であり、「時間と場所から解放され、自宅にいても仕事ができる環境さえ整えば、女性にとってだけでなく、介護をする男性、また外国人にとっても働きやすいシステムをつくる」ことが重要なのです。
そしてもうひとつ問題なのが、オールド・ボーイズ・ネットワークの存在。日本ではかつての成功を男性が中心に牽引してきたために、長い間男性中心の社会だった組織で共有されてきた独特のルールが存在します。男性であればそのようなルールは日常の中で先輩社員から教示されるものですが、女性はなかなかその機会がなく、またそのようなルールがあることを知らないことも多いのです。まずは女性も、また男性の側もそのような阻害要因が存在する事実を認識することが必要です。

最後に内永さんから、ご自身の経験をもとに女性たちへメッセージをいただきました。

女性たちへのメッセージ

01. 自分のキャリアに対する目標を明確にすること。
02. 与えられたチャンスには積極的にチャレンジすること。
03. 個人としての価値/強みを持つこと。
04. 社内外のネットワークを大切にすること。
05. メンター(先輩)を活用すること。できればなるべく地位の高い先輩を。
06. 馬に乗ったら降りない。

──さらに大事なのは、
07. 基礎体力をつける。
08. 全てを完璧にこなそうとはしない。



内永ゆか子
東京大学理学部物理学科卒業後、日本IBM入社。長年、ソフトウェア開発に携わり、95年、同社初の女性取締役(アジア・パシフィック・プロダクツ担当)に就任。常務取締役、専務執行役員などを経て07年に退職。08年4月ベネッセホールディングス取締役副社長、並びにベルリッツコーポレーション会長兼社長兼CEOを歴任。07年よりNPO法人「J-win」の理事長に就任。企業のダイバーシティ推進の支援と、女性リーダー育成活動を続けている。『もっと上手に働きなさい。』(ダイヤモンド社)、『部下を好きになってください』(勁草書房)など著作多数。
NPO法人「J-win」ホームページ
https://www.j-win.jp

 『もっと上手に働きなさい。』
内永ゆか子・著 ダイヤモンド社
1,400円(税別)
実際に会社で働く女性から寄せられた「リアルな悩み」の数々に内永さんが答える、働くすべての女性に贈るアドバイス。

column