2015.12.22

ビジネススキルは映画に学べ! Vol.1 『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』

「COMMONS PAGE」では、ビジネススキルのヒントにもなる、話題の映画をご紹介していきます。案内人は映画ジャーナリストの金原由佳さん。また、タブロイド版フリーペーパー「COMMONS PAGE press Vol.2」では、本サイトとは異なる映画を特集していますので、ぜひそちらも併せてお楽しみください。(※ 本連載は不定期です)


映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』

ビジネスにおいて売り買いのタイミングがいかに重要なのかは今さら言うまでもありません。今回、紹介する『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』は、まさに不動産売買にまつわる人間模様をコメディタッチで描いた作品です。

舞台は世界一、不動産価格が高いといわれるニューヨーク。画家のアレックス(モーガン・フリーマン)と、10年前に教師を定年退職したルース(ダイアン・キートン)はブルックリンの居心地の良い5階建てのアパートに夫婦で暮らして40年。最上階の部屋からはマンハッタンの摩天楼やイーストリバーが一望でき、広くはないけれど、日光が燦々と注ぐ心地よい空間です。ただ、ふたりには大きな問題がありました。それはこのアパートにエレベーターがないこと。階段の上り下りの大変さに加え、愛犬の椎間板ヘルニアもあり、妻のルースは家の買い替えを夫のアレックスにすすめます。
movie1ここで登場するのがルースの姪で、不動産エージェンシーのリリーです。部屋の内覧会を開き、朝9時から多くの人を招き入れ、顧客の購買意欲を刺激し、値引き交渉が当たり前の日本とは反対に、入札制度を利用し、値を引き上げていくのです。購入を真剣に考える顧客を3組に絞り、当初は85万ドルだった値段が、矢継ぎ早の電話攻勢であっというまに95万ドル台へ!
ルースの長年の夢であるマンハッタンのエレベーター付きの高級フラットへの転居も現実のものになっていきます。ただし、リリーはここである失敗を犯すのです。交渉事に気を取られ、なぜルースが部屋を売ろうと思ったのか、顧客たちがそれぞれなぜこの部屋にこだわるのか、繊細な感情を読み取れず、彼らの心移りや迷いに寄り添えずに、売買のタイミングを見逃すのですが......さて、ビジネスの決着はどうなるでしょうか?

アレックスとルースの暮らすエリアは、新婚当初の1970年代には夜の一人歩きも怖い古い倉庫や工場街でしたが、21世紀になってからは再開発で土地が高騰したといいます。世の移ろいだけでなく、人の心の移ろいに敏感に対応することも、ビジネスの最重要事項であることをこの映画は教えてくれるのです。

Point 1 ビジネスはタイミング。売りたい、買いたいの瞬間を見逃すな!

Point 2 顧客の心は移ろいやすい。その表情を読み取り、心境に寄り添おう。
movie1

映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』

監督:リチャード・ロンクレイン/出演:モーガン・フリーマン、ダイアン・キートン、シンシア・ニクソン/配給:スターサンズ/2016年1月30日、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、109シネマズ二子玉川ほか全国順次公開
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金原由佳(きんばら・ゆか)
映画ジャーナリスト。著書に映画評論集「ブロークン・ガール」(フィルムアート社)、取材、構成を務めた「伝説の美術監督たち× 種田陽平」(スペースシャワーネットワーク)、ロングインタビューを担当した「アクターズ・ファイル 永瀬正敏」など。

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